おしりペンペン
夜寝るのがイヤで、まだ遊んでいたくて、歯磨きを先延ばしにするチビタン。
私と一緒に自分で歯を磨き、終わったら仕上げ磨きをし、絵本を一冊読んでトイレに行ってお布団の中でおしゃべりしながら寝る…ということになっているのに、いつまでもグズグズして歯を磨き始めない。
「一緒に歯を磨こう」と誘っても「5・4・3・2・1!」とカウントダウンしても、「やることをサッサと済ませて、時間が余ったら遊ぼうよ」と言っても、ぜんぜんダメ。
「絵本読む時間無くなるよ」と脅してもダメ。
「あと5数える内に歯を磨かないと、絵本は読まないよ。」と言って、数を数え始めたが、結局、チビタンが動き出す前に5を数え終わってしまった。
そうなったら「絵本は読まない」ことにするしかない。
「ママが歯磨き終わったら、もう先に寝るよ! もう寝る時間過ぎてるんだから」そう言って磨き始める。
チビタンは一向に動く気配がない。
私の歯磨きは終わってしまった。
だから寝室に行って「先に寝る」しかない。
私が寝室に行くと、さすがにチビタンは追いかけてきて、泣き始める。
チ「ねぇねぇ、マァマ〜! 一緒に歯磨きしようよぉ!」
私「ママが一緒にしようって言った時にしなかったんだから、1人で磨いてください。」
チ「1人じゃやだぁ!」
私「自分で磨いた後、呼んでくれたら、ママが行くから」
チ「自分で磨かないぃ! ママやってぇ!」
私「勝手なことばっかり言って、甘ったれたことばっかり言う子は知りません!」
チ「やぁだぁ!」
私「早く磨いてきなさい。仕上げやってあげるから。」
チ「やぁだぁ! 一緒に歯磨きしようよぉ!」
私「ママが一緒にしようって言った時にしなかったんだから、1人で磨いてください。」
チ「1人じゃやだぁ!」
以下略。
十数回リピート。
あんまりいつまでもわがままを言って泣いているので、寝室の外に出し「自分で磨いたら呼んでね」と言って扉を閉める。
が、ぜんぜん効果なし。
益々大声で泣き叫び、扉を開けて中に入ってきた。
どうしたものか。
言っても聞かないものは、やっぱり“おしりペンペン”かなぁ…
私「そんなわがままばっかり言ってると、………パパにおしりペンペンしてもらうよ!」
チ「やぁだぁ!」
いや、パパに“おしりペンペン”だけ頼むのももうしわけないなぁ…
私「じゃあ、ママが“おしりペンペン”だ!」
チビタンを抱えて、お尻を叩いた。
痛かったのか、痛くなかったのか、チビタンは「やぁだぁ」と言って泣き続けている。
ペンペンが終わっても、チビタンは歯磨きする様子がない。
結局、また「1人で磨かない」「自分で磨きなさい」の繰り返し。
“おしりペンペン”って、なんの効果があるのか?
私の気分が不快になっただけじゃ。
大声で泣き続けてさすがに疲れたらしく、チビタンの泣き声が小さくなってきた。
私「ねぇ、チビタン、毎日毎日同じことで怒られて、いつもごめんなさいって言うけれど、ママ、チビタンのごめんなさいは信じられないよ。だってまた同じことするじゃない。本当にごめんなさいって思ってるの?」
チ「うん。」
私「じゃあ、グズグズしないで、自分で磨いてきなさい」
チ「やぁだ。ママと一緒に磨きたい」
私「ママが一緒に歯磨きしようって言った時に、しなかったんでしょ? 自分で磨いてきてください」
チ「やだ。1人で磨けない」
意地っぱりなチビタン。
絶対に自分で磨かせたい私。
またまた、同じ科白の繰り返し。
でも今度は何がきっかけになったのか、突然チビタンがヒックヒックとしゃくり上げながら、歯ブラシを持ってきて磨き出した。
バツが悪いのか、私からもパパからも見えない所に隠れて、シュカシュカしている。
時々、そーっと私の様子を見にやってきて、私が待っているのを確認して戻っていく。
そして、自分で磨き終わって仕上げ磨きに「おか〜さ〜ん」と呼ばれた。
やっとかいな、と時計を見ると、私が寝室に入ってから一時間も経っていた。
私「いつも同じこと言うけれど、早くやることをやって、絵本も読んで、楽しくおしゃべりする方がずっといいでしょ? 一時間も同じことで怒られて、絵本も読めなくて、泣きながら寝るんじゃつまらないじゃないの」
チ「うん。」
私「明日から毎日がんばってください」
チ「うん。」
神妙な顔で返事はしていたけれど…
本当にわかったのかいなぁ?
そして“おしりペンペン”の効果効能はなんじゃいのう?