思い出の品
テレビを見る時に口を尖らせている。
右手でポケットの中を探る時、左手も動く。
歩いている時に、目的方向意外の物を指さすと、立ち止まってしっかり見る。
置いてある物がちょっとでも曲がっていると気になる。
線を引く時は、どんなものでも(走り書きのメモでも)定規を使う。
目印をつける時には、必ず物差しで測る。
不器用な一面。
几帳面な一面。
父の仕草を思い出すたびに、私は全然似なかったなぁと思う。
ただひとつ似ているのは…
日曜大工が好きだった父は、私が小さい頃、よく家の中を修繕していた。
テラスの屋根を張り替えたり、洗面所やトイレの床シートを張り替えたり、棚を取り付けたり、便利な小道具を作ったり。
そして、ホームセンターに行くのが好きだった父。
父がなんでも作り出す魔法の工具を見て育ったので、私もホームセンターは大好きだった。
マニアックな商品を手に取って、「ほぅ!」とニヤニヤしている父に商品説明を聞きながら、私も「ほぅ!」と思ったものだ。
そんな父の最後の作品は、「ゴミ箱台車」
普段座っている場所の脇の狭い隙間にゴミ箱が収納されていたのですが、それを引っ張り出すために「ゴミ箱専用の台車」を作りました。
……特許は取れなさそうですね。