プレゼント 〜つづき

父からもらったプレゼントのエピソードもある。

【動く汽車】
私には記憶がないのだけれど、初めて父が買ってくれたおもちゃらしい。
汽車の窓から運転手さんが顔を出して、手にランプを持っている。（違うかも）
スイッチを入れるとランプを振る。違うかも……でなければ顔を振る。

私は……動く人形が恐いのだ。正直言って今も苦手だ。
動くおもちゃを喜ぶと思って買ってきてくれた父。
私はギャン泣きだったそうだ。
翌日、動くおもちゃはお店に返したそうだ。

【テレビアニメ主題歌大集合】
こんな感じのタイトルのレコード。
当時レコード会社に勤めていた父は、時々レコードを買ってきた。
両親ともにクラシックが好きなので、そういうものが多かったと思うのだが、
どういう風の吹き回しか、父がアニメ主題歌が色々入ったレコードをプレゼントしてくれた。

「宇宙戦艦ヤマト」
「仮面ライダーアマゾン」
「転身ポリマー」…違うかも。
「ハリケンライダー」……違うかも。
「てんとうむしのうた」………違うかも。同世代の方ならわかるかな？？
そんな主題歌がたくさん入ってたんだけれど……

でもおかしいんだよね。
うち、テレビはNHKか、名作アニメ（「アルプスの少女ハイジ」とか「フランダースの犬」とか）しか見ちゃいけないと言う、お堅いお家だったのよ。
「ヤマト」も「アマゾン」も知らないんだよね。

　　何故、これを、私に？　なんか間違えてない？

と内心思ったけれど、「あ、間違えた。お店で代えてこよう」と言われると困るので黙っていた。
それぞれのアニメの絵が描いてあるところを舐めるように見て、歌詞の内容と合わせて想像しながら「宇宙戦艦ヤマトごっこ」も「仮面ライダーアマゾンごっこ」も１人で楽しんでいた私。

なぜ１人かって言うと……本物を知らないインチキごっこなので……友だちと一緒には出来ないのだ。
「ゆきちゃん、違うよ。知らないの？」って言われたくなかったのよね。

【アクセサリ】
とにかく「ザ・昔の男」な父は、口下手だし、贈り物下手。
いつも母の誕生日を忘れては、母に怒られていた。
誕生日プレゼントに何を買ったらいいかも分からず、旅行に行っても、お土産を何にすればいいかも分からない。

そんな父が、旅行のお土産にアクセサリーを買ってきてくれたことがある。
１回目はイヤリング。
もう１回は、ブローチ。
ま、イヤリングの方は母と一緒だったので、母が選んだのかもしれないが。
ブローチは白い犬で、私が戌年だから犬にしたのかも知れないし、渡してくれる時に
　　「犬の顔がゆきに似てると思った」
と言っていたので、父の中で、何か納得するものがあってそれにしたのだろう。
お土産売り場で商品を手に取って悩んでいる父の姿を想像すると、嬉しいやら可笑しいやら…そして暖かい気持ちになる。

ありがとう。
そしてこれからも、いつも、ありがとう。
お父さん、お誕生日おめでとう。