おおらか
子どもの頃、大人たちは「おおらか」と私を評価していた。
学校の通信簿や、近所の人、友達のお母さんたちは、私のことを大抵そんな風に言っていた。
それに対して私の母は「のんびり、おっとりしてて…もっとこう……競争意識がないと…」みたいな返事をしていた記憶がある。
だからという訳じゃないと思うけど、私は「おおらか」というのは良くない事だと思っていた。
「おおらか」には、どんくさいイメージがある。
他人の悪意に気づかないような、ぼけっとしているイメージがある。
「おおらか」は、ひょいひょいと他人の言動をかわし、そのくせ地に足がついてないイメージがある。
マイペースで、他人の事にも自分の大事にさえ無関心なイメージがある。
もっとキリッとしなさい。もっと現実を見なさい。もっと真剣になりなさい。もっと関心を持ちなさい。
大人たちは、そういう注意を遠回しにしているんだと思っていた。
子どもの頃、私は他人にこんな風に評価されてみたかった。
大胆不敵・天真爛漫・自由奔放
やんちゃで手に負えない!
成人するまでの間に、そんな風になれるように何かと挑戦してみたけれど、なにぶんのんびり、おっとりな私なもので、叶うはずもなく。
これは無駄な努力だ、「おおらか」全開で行こうと決心したのは大学生になってからだった。
「おおらか」は良いことなんだと知った今でも、ふと思い出す憧れの言葉。
大胆不敵・天真爛漫・自由奔放…やんちゃで手に負えない!
七夕の星々に母は願う…
チビタンがおおらかに育ちますように……と。