ひよことおさんぽにでかけよう!

ルキ=私  ルウ=4歳の娘  チャーリー=旦那様  楽しく子育て奮闘中!

父の声 2

父が亡くなった前の日、私とチビタンは実家に遊びに行っていた。
週末の土日に泊まって、月曜日の朝、デイサービスに行く父を見送り、私たちは帰宅した。

いつも別れの時に、私は意識して「またね〜」と挨拶する。
それがその日に限って「いってらっしゃ〜い」としか言わず、「あっ」と思ったものの、もう父はドアの陰になって見えなくなってしまった。

そんなことは、たまたま、なんだけれど…
あの時、いつものように「またね」と言っていたら、なにか違ったような気がしてならない。


ありがとうもごめんなさいも言えない突然の死は辛い。

あれから繰り返し父に語りかける私。
無口だったはずの父は、最近、よく話してくれる。
少し若返ったみたいな声で。
チビタンを甘やかし過ぎだとか、お前ももっとしっかり先の事を考えろとか、
タカシさん(ダリン)がかわいそうだよ、とか、
お小言ばかり言われていますが、時々は誉めてくれる事もあり……

昔そうだったように、舞台の裏話的な話はニヤニヤして聞いていたり。
私が描いた絵に、ニコニコしていたり。


その中で、私は何度も父に「ありがとう」と呟くけれど、
そのありがとうは、本当はもう父には通じないとわかっている。

傍にいる内に、なんでもっと言わなかったのかと悔やむけれど。

今日も少し若返った父はニコニコと笑っている。